コミケにおけるゲームプロモーション手法の解説とものづくりのあり方~コミケ86 DeNA出展レポより~

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みなさんこんにちは。

美少女プロジェクトのイワサです。 ハッカドールのプロデューサーも兼任しているのですが、最近はなぜか「イワクソP」と呼ばれていて、自分の人生の有り様に疑問を持つ日々です。クソPってすごい呼び方ですよね。

 

さて、2014年8月に、去年冬に行われたコミックマーケット85に引き続き、夏のコミックマーケット、通称夏コミにDeNAとして出展してきました。(前回のコミックマーケット出展の模様はこちらをご参照ください)

 

今回は、コミックマーケットにおけるゲームプロモーション手法を解説しながら、エンターテイメントにおけるものづくり・プロモーションのあり方について少し書きたいと思います。

 

そもそも夏コミとは?

コミックマーケットは、年に2回行われる日本最大の同人誌即売会イベントです。日本中、ひいては世界中から漫画やアニメのグッズや同人誌を求めて数多くの人が東京国際展示場(東京ビッグサイト)に集うイベントで、今回は8/15 – 8/17の3日間で55万人が来場しました。ちなみに2013年のゲームショー来場者数は27万人ですから、いかに大規模かわかるかと思います。

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コミックマーケットには、大きく分けて「サークル参加」と「企業参加」、「スタッフ参加」そして「一般参加」の大きく4つの参加形態があります。「サークル参加」とは、いわゆる同人誌やグッズ等を制作し、コミックマーケット会場で頒布する同人サークルを指します。「企業参加」とはDeNAのように、企業がブースを設営し、販売やプロモーション活動等を行うものです。そして「スタッフ参加」は、コミックマーケットの運営側としてボランティアスタッフとして会場設営や列整理等に参加するものです。最後に「一般参加」とは、いわゆるお客様で、当日会場にて同人誌等を購入したり、コスプレ等を行う方々となります。決して「お客様」とは呼ばないのは、一般参加者も含めたすべての人が、コミックマーケットというイベントに参加し、イベントを作り上げている当事者であるという理念に基づいています。これは、東京ゲームショウ等の他の展示会やイベントと大きく異る点です。

 

DeNAブースで何をやってどんな効果があった?

今回、DeNAでは前回に引き続き「美少女Mobage」として、アイドルマスター シンデレラガールズやIS<インフィニット・ストラトス>をはじめとしたタイトルのプロモーションを目的として、以下のような施策を実施しました。

 

・各タイトルのメインヒロインを大きくフィーチャーした大型ブース(前回の1.5倍)の設営

・コミケ名物大型紙バッグの無料配布(「アイドルマスター シンデレラガールズ」と「IS<インフィニット・ストラトス>の両面デザイン)

・ポスター折込カラー冊子『電撃美少女Mobage』の配布

・全18タイトル・28種類のコミックマーケット限定カードセットの配布

・トリガー制作のオリジナルショートムービーを含むプロモーションビデオの制作・上映

・各タイトルのヒロインに扮したコスプレコンパニオン7名の配置

・コミケ会場前等の限定ローソン店舗における「魔法科高校の劣等生」特製モバコインカードの販売とモバコインカード台紙を引き換えにしたクリアポスターの配布

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基本的には、冬コミでの成功例をベースに、よりたくさん、より面白く、より挑戦的に、という観点で施策を実行しました。前回より多く無料配布物を用意し、プロモーションビデオ等はより手間暇をかけて制作し、前回以上のバリエーションとボリュームを提供しました。

 

その結果として、プロモーション効果目標として掲げていたコミケ取り扱いタイトルのインストールおよび事前登録については、冬コミの際の効果を大幅に超えた形で実現できました。これは、コミケ会場で配布した冊子やブロマイド&カードのもたらしたものだけでなく、コミケ出展を通じた様々なニュースメディア・雑誌・個人まとめブログやツイッターにて当社ブースの様子や配布物、ゲームが多数取り上げられたことによるものでもあります。普段ならば数千万円払っても得られないメディアカバレッジを、コミックマーケットに出展することで無償で得られたわけです。

 

また、二回連続での出展を通じて、周りに出展されているゲームメーカー様やビデオグラムメーカー様、出版社様等の他の企業様に対して、引き続き私たちの作品やキャラクターに対する真剣さが伝わり、今後の新たな展開のきっかけになる事もたくさんありました。

 

結論としては、去年の冬コミに引き続き、非常に良い成果が達成できたのではないかと確信しています。

 

リアルイベントで有効なゲームプロモーションとは?

さて、これまでのイベントを通じて、「美少女プロジェクト」チームはコミックマーケットのようなリアルイベントにおいてどういった観点でプロモーションをすべきなのか、ある程度知見が溜まってきました。その中から代表的なものを3つご紹介したいとおもいます。

 

その1:重層的な情報発信と露出を心がけよう

 

携帯電話等でのゲームを提供する企業としては、リアルイベントでのプロモーションとなると、ついついその場での短期的なゲームインストールを仕掛けようとしてしまいます。例えば、その場でゲームをインストールしたりすると、ノベルティグッズ等をもらえるようなキャンペーンの実施です。

 

しかし、ユーザー心理を考えると、リアルイベントとは「情報収集・体験」の場です。イベントに参加されている方は、自分の興味関心に導かれるまま、いろんなブースを巡り、自分の心の琴線に触れるものを探そうとしています。マーケティングのフレームワークで言うならば、AIDMAの法則 (Attention, Interest, Desire, Memory, Action)のうち、AttentionとInterestの段階であり、「新しいものを知りたい」「好きなものを見つけたい」という状態です。

 

このようなお客様に対して、一足飛びにインストール等の「Action」を強いるのは、ユーザー感情とシンクロしておらず、「やらされた」感の強い行動になってしまいます。よって、「AttentionとInterest」の状態を如何につくり上げるかに着目し、会場内外のいろんな場所で何度も「美少女Mobage」のグッズやタイトルを見聞きできる環境を作り、「こんなに会場にあふれている『美少女Mobage』って何だ?」という興味喚起と、いざ「美少女Mobage」ブースに来た際に、うれしいプレゼントや楽しい発見を見つけた際に、好きになってもらう仕掛けづくり、これらをしっかりをやり切る事が大事だと思っています。

 

具体的には、「美少女Mobage」ブースでは、直接インストールには結びつかない「大型紙バッグ」を朝イチで配布し、会場内外でたくさん目にして頂くこと、そして「美少女Mobage」ブースにご来場のほぼすべての皆様に行き渡るように、豪華なカラー冊子「電撃美少女Mobage」と、何が入っているかわからない「コミックマーケット限定カードセット」をプレゼントし、嬉しさや楽しさをお伝えするようにしています。

 

その2:たくさん配ることに夢中になりすぎないようにしよう

 

イベントで無料配布をするとなると、ついつい数を捌くことを目指してしまいます。確かに運営側・出展側としては「何万枚配りました!」というのがわかりやすい目標設定になりますが……ちょっと待ってください。そういう目標ばかりを追いかけると、ついつい効率的に配るために大事なものが犠牲になっていませんか?

 

効率的に配る事を考えたら、同じお客様に複数枚、しかも何も言わずに素早く渡すのがベストです。しかし、受け取った側はどうでしょう?同じものを複数もらっても、捨てるかネットオークション等で売るしかありません。また、黙って押し付けられたとしたら、なんだか価値がないものに感じられてしまうのではないでしょうか?実物としては同じなのに、駅前で配られているティッシュは、買ったティッシュよりも価値が低いような……そんな気持ちです。

 

例えばレストランにおいては、給仕する方が丁寧でお客様に合わせて料理を提供することで、お客様はその料理を食べる前から、高い期待値を持つ事になります。それと同じに、たとえ無料の配布物であっても、丁寧にお声掛けしながら笑顔で渡すことで、お客様は受け取ったものについて、より高い期待値を持つことになります。美少女Mobageブースにおいては、やる気あるボランティア社員と、プロフェッショナルなコスプレコンパニオンが中心となって配布を行うことで、上記の丁寧さと熱意を実現していました。

 

結果としては、人数あたりの配布スピードは若干落ちたのかもしれませんが、一般に配布するケースに比べても高い割合で持ち帰って頂き、読んでくださって、最終的にゲームインストール等に繋がっていると考えています。

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その3:楽しんでいい思い出にしよう


最後は、若干キレイ事かもしれませんが、自分は「美少女Mobage」並びにコミックマーケットに関わってくれる社内外のすべてのスタッフに、楽しんでいい思い出になってもらいたいと思っています。


よく考えると、何が悲しくて土日を潰して灼熱の会場で汗をかきながら冊子やカードを配布せにゃならんのだ!?となると思います。シゴトとしてやるならばあまり楽しい部類のものではありません。しかし、これをもしも仮に『お祭り』として捉えるならば、事前の準備も、当日汗をかくことも含めて、全てがお祭りの思い出になります。


こういった「お祭り」感の演出のため、スタッフに対しては、決してノルマ的な事や配布目標数的なことを押し付けず、無事故で楽しくやりましょうという話をするようにしています。基本的には若いスタッフ中心で、普段の部署や所属の垣根を超えた少人数のチームを組んで、チーム単位で動くようにします。そして終わったら、たくさんおみやげをあげます。美少女Mobage特製Tシャツや、ノベルティの余り品等です。


これがどんな結果になっているかどうか?はわかりませんが、少なくとも去年よりも多くのボランティアが参加するようになり、みんな楽しそうにコミケに参加して、また来年も来たい!と言ってくれる状態になり、本イベント運用が重荷ではなく楽しみになってきており、持続可能な取り組みになっているのは、非常に大きな効果なのではないかと考えています。

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個人的に考えるエンタメにおけるプロモーションのあり方

 

ちょっと精神論的なところもありますが、上記三点を大事にしながら、これからもコミックマーケットを始めとするリアルイベント、そしてオンラインイベントをどんどんやっていって、美少女Mobage並びに関連サービスの成長と、そしてご一緒させて頂いているコンテンツの成長に貢献していきたいと考えています。

 

今回のコミックマーケットでは、開催タイミングに合わせて新しいサービス「君にシンクロするニュースアプリ ハッカドール」もリリースしました。こちらは「キルラキル」や「リトルウィッチアカデミア」で有名なアニメーション制作会社 トリガーさんの若手監督と一緒にプロモーションアニメを制作したり、ティザーサイトにちょっとした仕掛けを入れたり、そしてこれからも様々なコンテンツやサービスとのタイアップやコラボレーションを通じた取り組みをしていきます。

 

ハッカドールの立ち上げでも大事にしていますが、このような取り組みにおいては、常に「(事業として)やるべきこと」「(ファンとして)やって欲しいこと・やりたい事」「(現実的に)やれること」の3つが重なるように、ものづくりやプロモーションを実行するべく心がけています。

 

事業としてやるべきこと優先で無味乾燥なものをつくるのでなく、ファン目線だけの独りよがりなものでビジネス的に成り立たないものをするのでなく、はたまた納期や予算の制約だけを考えて非常につまらないやれることに収まるのでない、そういう動き方です。貫くのには結構大きなエネルギーがいるのですが、これを貫くと貫かないではやっぱりついてくる効果が違うのでちゃんとやる!そこにつきます。

 

という事で、だらだら書いてしまいましたが、コミックマーケットC86は無事成功いたしました。ご協力いただきました全てのパートナー様と関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

 

今度は2014年冬コミです!今回の経験を活かして、更にインパクトのあるものをご提供できるよう、既に美少女プロジェクトチームは動き始めています。是非今後ともご協力と応援のほどよろしくお願いいたします!

 

ではまた冬コミで会いましょう。