2015年のゲーム・Web 開発動向を技術面で占う - Mobage 座談会 【前編】

皆さま、少々遅くなりましたが明けましておめでとうございます。 

 

さて、去年は技術的創意工夫が盛り込まれた様々なゲームがリリースされ、盛り上がった一年になりましたが、2015 年はどういう技術が注目され、ゲームの製作にどのように影響するのでしょうか。

Mobageプラットフォームの運営責任者の川上と、シニアアーキテクト兼ディレクターの山口(zigorou)に聞きました。

 

【スピーカー】

  • プラットフォームシステム部 部長 川上(Mobageプラットフォーム運営責任者)
  • プラットフォームシステム部 山口(zigorou)(シニアアーキテクト・Mobageディレクター)

【モデレーター】

  • ビジネス開発統括部テクニカルコンサルティング グループマネジャー チョイ

■Browser の表現力向上と HTML5 ゲームのリッチ化

<座談会は、社内の一室で和やかに始まりました>

<座談会は、社内の一室で和やかに始まりました>

 

チョイ:お疲れ様です。早速ですが、2015 年にゲーム開発に影響を与えそうな技術動向について、何か共有できるものはありますか。

 

山口:そうですね。最近の動向からして段々 Native の方だとゲームエンジンがどんどん普及してきて、Unity とか Unreal とかがかなり使われるようになってきました。

HTML5 の話等で出てくるかもしれませんが、Mozilla が試みている Firefox 上で Unreal や Unity で開発されたアプリケーションを動かすために asm.js に変換する機能なども、asm.js の普及次第で現実性が高くなります。Internet Explorer に今後どんなフィーチャーを追加していくかを開示している modern.IEのページがありますが、その中で asm.js が検討中というステータスで入っているはずです。

そういう意味では、Nativeのエンジニア向けにも、HTML5プラットフォームは、だんだんリアリティが出てきたので非常に注目しています。

 

チョイ: ということは Unity などで開発したものを、簡単にかつ今以上にパーフォーマンスが出るように、ブラウザにもエクスポートできるという事でしょうか?

 

川上:はい、そうですね。各ツールがエクスポートできるように Unity5 から、HTML5 出力・エクスポートがサポートされるようなので、そういうところでも Web でもリッチ化が進んでいますね。

 

山口:2014 年のニュースで、iOS8 から Safari が WebGL をサポートしたり、GPU*が対応していないと動かないのですが Android も 4.x  系からサポートされました。また、Firefoxの戦略としての asm.js を使った Unity とか Unreal からの変換は、JS レベルでも速くなるし、最終的な出力としてWebGLとなるため、プラグインレスにもなります。

*ご参考:https://www.khronos.org/webgl/wiki/Getting_a_WebGL_Implementation

2015年は少なからず WebGL 元年になると予想します。

今までみたいにボトムアップで HTML をベースにしたアプリケーションの作り方と、ゲームエンジンを使って最終的な出力が HTML5 になるという、2つのアプローチというのが、ケースバイケースで主流にになってくるでしょう。いずれにせよそういう作り方は、クロスプラットフォームを意識した作りになっていると思っています。

HTML5 が選択される理由として、クロスプラットフォームという観点からで、その競合としてゲームエンジン自体がクロスプラットフォームになっていくため、かなりリアリティが出てきます。いずれにせよ出力の一つとして HTML5 がプラットフォーム化してきています。

<WebGLを語る川上。口調に自然と熱がこもる>

<WebGLを語る川上。口調に自然と熱がこもる>

 

■DeNA における CreateJS 互換ライブラリの開発状況紹介

チョイ: なるほど。そもそも HTML5 を考えるときに、アニメーションや 3D グラフィックスの表現を自分でスクラッチから作ることもあるでしょうが、今後はオーサリングツールを使わないと表現力の高いものは作れないと思ったりもしますが、これからいろんな選択肢が出てくるのでしょうか?

 

山口:これからいろんな選択肢が出てきますね。

 

川上:たとえば、Flash CC と CreateJS の組み合わせは、Flash を使う人達のこれまでに培ってきた技術を活用できるという意味では、DeNA としては Flash CC をそういったオーサリングツールの一つとして可能性があるのではないかと思っています。DeNA では今後も、Flash CC+CreateJS で何ができるか考えていきたいです。

 

チョイ:既存の Flash のアセットはたくさん存在しているので、これが便利に実現できれば可能性は広がりますね。どういう形で実現されますか。

 

川上:CreateJS は基本的に、モバイル上で動かすと遅いというのが現状であり、DeNA では今現在 CreateJS の互換ライブラリを作成しています。それが実現すると、描画や表現力が Native アプリとまではいかないが、勝負できるぐらいの速度がでる見込みです。

 

チョイ:というと既に実績はできていますか?

 

川上: 今現在、Cygames 様にも協力していただき、安定稼働が実現できるように取り組んでいるところですね。

 

チョイ: その技術はどのような開発環境を対象にしていますか。

 

川上:開発環境は FlashCC と CreateJS で動かせるが、互換ライブラリと言っても 100% 互換ではないので、気をつけなければいけない点が何点あります。実際導入時には、事前に情報提供しなければいけないのが現状ですね。

 

チョイ: 標準の Flash CC から CreateJS のコードを出力して、そこに JS のリンクというかライブラリだけ差し替えて動くという感じですね。

 

川上・山口:それが理想的ではあります。

 

山口:そのライブラリを CreateJS Lite (仮) と呼んでいますが、中ではスーパーテクニックが使用されているらしい(笑)。

 

川上:はい、JavaScript レベルでオプティマイズして描画命令の削減をしたり、WebGL も使用しています。

 

チョイ:それで既存の CreateJS との差別化をつけている感じですか。

 

川上:標準の CreateJS の方も、WebGL は対応しようという動きになっていますが、描画命令の削減という観点では差別化を図っていますね。

 

山口:例えばすべてを描画するのではなく、差分だけ描画するというイメージ。確かに 8K ハイビジョンテレビにも使用されているテクノロジーとほとんど同じです。

 

チョイ:かといって、ブラウザ間での互換性は大事だと思いますので、その点についてはいかがですか。損なわれたりしますか。

 

山口:それはない。損なわれないように、互換ライブラリとして出していく予定です。

 

チョイ:ということは描画や計算アルゴリズムは工夫していますが、別に hacky 的な手法を使用しているわけではないという事ですね。

 

川上: hacky な事はやっていません。軽量にするために、一部IE6 などを非対応にしています。

 

山口:なのでその分だけでもスリムにもなるはずです。 非常に期待できるテクノロジーです。実際にグランブルーファンタジーの β 版という形で入ってきていますが、本当に体感できるぐらい速い!という感じになっており、非常に期待できるテクノロジーです。

<わくわくする展望に、思わず笑みが溢れるチョイ。>

 

チョイ: 今の開発状況をいいますと、ライブラリが実際に出ていてグランブルーファンタジーの β 版で導入されて動作している状態ですが、次のステップはどのように考えていますか?

 

川上:動作しているとはいえやはりまだ β ですので、今後もやはり今より安定化させて、必要十分な安定性が実現できたら、多角展開して他のパートナーさんにも提供する予定です。

 

チョイ:だいたいの展開時期は決まっていますか?

 

川上:今年度(2015年3月まで)中には、いくつかのタイトルに導入し、安定性の確認改善を経てから、2015 年度からはもっと幅広く提供していきたいと思っています。

 

山口:過去に Feature Phone から Smart Phone に移行する際、ExGame や Pex を提供したのと同じように、今後は CreateJS Lite (仮) を展開していきたいです。

 

チョイ:これは Pexの進化系と考えてよいものでしょうか?

 

山口:いいえ、機構が違うため、進化系とは違います。しかしオーサリングツールという存在が前提にあってという観点では、似たようなものかもしれません。Pex はアクションがあるものをただ再生するだけですが、CreateJS に関しては、自分たちでプログラムを書く仕様になっています。例えば、そこにイベントハンドラーを仕込んで、ユーザーアクションに応じて○○をさせる等、いらんな用途に使用できるはずです。

 

チョイ: なるほど。拡張性があるという事でしょうか?

 

川上:そうですね、JavaScriptでロジックをガリガリと書くことが前提なので(拡張性はあります)。そこに Flash のアセットを組み込むことになります。

 

チョイ:今現在で安定性という課題がありますが、どこが苦労のポイントですか。

 

川上: 今現在苦労しているのは、端末依存問題ですね。特に Android の機種 x OS バージョン x Chrome/標準ブラウザ。それぞれ何かの組み合わせで動作しない等があるため、問題点を一つ一つ潰している状態です。

 

チョイ: 今の(デバイス)カバレッジ的にどのぐらいですか。

 

川上:定量的に測っていないけどけっこう動いています。

 

チョイ: 例えばQA端末リストがあったとしたら、7割8割とかですか?

 

川上: もっといってるかもしれません。特に Chrome を使用している場合はもっといっているはずです。そもそもこの技術の推奨ブラウザを Chrome にしようと考えています。とはいえ、Chrome を使用していない人もいるため、とりあえずクリティカルなものはつぶそうと考えています。現状の動作状況は、Android 2.3 系の標準ブラウザだどカバレッジは落ちていますが、4.0系だとかなりいい線いっている感じという状況です。

 

チョイ: 早く展開できれば、パートナー様も喜ぶだろうし、ユーザ様にもいろんなリッチなゲームを提供できるので期待しますね。

 


 

新しい技術への期待が膨らみ、今後の明るい展望を語る3人の熱量が伝わってきます。

この対談の後半は以下の3つについての内容となっております。

近日公開予定ですのでお楽しみに!

  • WebSocket やHTTP/2などの次世代技術

  • Browser の強み・課題・希望

  • 2015年のMobage での取り組み

 

2015年も 「Mobage Developers Blog」は新しい技術・情報を発信していきます。

皆さま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。