ゲーム・アプリを、長い間楽しめるものにするために意識した方がよい数字たち

こんにちは。分析部サービスアナリティクスGrの @dnogami_dena です。私たちのグループでは、ソーシャルゲームやスマートフォンアプリなどのサービスの「分析」や「レベルデザイン」を行っています。

今回お話しさせていただくのは、その中でも「分析」にあたるお話です。

と言いましても、「分析」も「レベルデザイン」も、使う人によって意味がだいぶ違ってくる言葉です。最初に、私たちが行っている「分析」「レベルデザイン」について、軽くご説明します。

 

世間でもたれている、ソーシャルゲーム・スマートフォンアプリの「分析」「レベルデザイン」のイメージと、DeNAの「分析」「レベルデザイン」には、すこし違うところがある

さて、ソーシャルゲームやスマートフォンアプリの「分析」「レベルデザイン」というのは、一般にはどのような仕事と思われているのでしょうか。各所のインタビューに登場するような「データサイエンティスト」「アナリスト」「レベルデザイナー」の方々がされている仕事は、だいたいこんな感じでしょうか。

 

  • 複雑なデータマイニングの技術を駆使して何かをしている

    • ユーザのアクティビティを機械学習している

    • 売上が上がらない理由を決定木分析している

    • クラスタリングをしてゲーム内チームのグルーピングをしている

  • ゲームのパラメータを決めている

    • カードのHP・攻撃力・防御力・スキルなどを設計している

    • ガチャの確率設定をしたり、新しいガチャの仕組みを考えている

  • 売上を上げる算段をしている

    • 売上の増減をDAU×ARPUなどのKPI分解して説明している

    • 売上を増やすために、ガチャなどの確率を微調整している

 

絵にするとこのような、画面の数字とにらめっこをするイメージでしょうか…?

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これらの仕事は、DeNAでも行っていますが、それ以上に私たちが重視しているのは、こんな仕事です。

  • ゲームを制作しているチームに対して、ゲーム設計のポリシー作り・ポリシーのゲームへの反映をサポートしている

    • チームが考えた「ゲームの面白さ」が実現されるようなゲーム設計のポリシー作り

    • ゲーム設計のポリシーを具体的な形に落とし込む方法の開発と横展開

 

  • ゲームをリリースした直後のチームに対して、ゲームに対するユーザの反応・評価を伝え、課題の発見やアドバイスをしている

    • リリースされたゲームに対するユーザの反応・評価をすばやく定量的に捉える仕組みづくり

    • ユーザの評価と、蓄積された過去の実績をもとにした、課題の優先順位付けのサポート

 

  • 中長期にわたってゲームを運営しているチームに対して、ユーザに末永く遊んで頂くための課題出しやアドバイスをしている

    • 世に出てユーザに受け入れられ、長く運営されているゲームに対するユーザの評価の定量的な把握

    • 日々の作業に追われている運営チームに対し、ゲームを末永く遊んでいただくための中期的な課題の発見

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これから何回かにわけて、私たちが行っている「分析」「レベルデザイン」をご紹介していきますが、私からは、3番目の「中長期にわたって運営されているゲームへの課題だし」をお話しさせて頂きます。

 

数字だけでは面白いものは作れないけれど、面白さが実現できているかどうかを計る物差しとして、やはり数字"も"欠かせない

このようなお話をすると、必ずいただく反応が「数字による管理で面白さが作れるのか」というものです。実際、有名なゲームクリエイターの多くは、「数字で管理を行わない」ということを明言されていたりします。たとえば、パズル&ドラゴンズを世の中に送り出した、ガンホー・オンライン・エンターテインメントの森下社長もインタビューで、

「いわゆるKPI (=Key Performance Indicators。重要業績評価指標)の管理を意識したことはありません。」

http://toyokeizai.net/articles/-/13026?page=5

と語られていたりします。

数字を意識しすぎるな、ということはDeNAの中でも言われており、ゲームを企画するときに最初に明確にするように求められるのは「ゲームのコアとなる面白さはなにか、それはどのような体験なのか」を徹底的に突き詰めることだったりします。

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しかし、ソーシャルゲームやスマートフォンアプリ、それだけではなくネットサービス全般では、面白さが実現出来ているかどうかをはかる物差しとして、数字" も"欠かせないものであると私たちは考えています。

なぜなら、これらのサービスは、数多くのユーザがお互いに影響し合いながら楽しむものであり、日々内容 が更新されていくものです。そのようなサービスでは、遊ばれるユーザも多様で、多くのユーザにたいして面白さを提供できているかどうかを、事前の想定や、 数人によるプレイで把握することは困難です。

それは、あたかも「コックピットの計器をみないで操縦する飛行機」のようなものです。自分の目や感覚だけではなく、数字"も"つかって、ユーザが感じている喜怒哀楽を知る必要があるのです。

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では、中長期にわたって運営されているゲームのコクピットには、どのような数字が並んでいるのでしょうか。

 

リリースしたゲームが、末永く遊べるゲームになっているかを確認するための数字とは

中長期にわたってユーザに遊び続けてもらっているゲームでは、細かいゲームのチューニングや、ユーザから頂くご意見への対応、売上の維持も大事ですが、それらが結果として遊び続けてくださっている方に「心地よいか」どうかが重要になってきます。

長時間連れ添ったサービスですから、思い入れもありますし、いきなり大変身されても困るし、かといってマンネリもイヤだ、そんなユーザが、ゲームをトータル でどのように評価しているのかを把握せず、一部の人間の感覚だけで運営してしまうと、多くのユーザに別れを告げられてしまうことになります。

その心地よさをはかる物差しは、ゲームによって違うのでしょうか? 実はある程度共通の物差しがあります。その1つが、プレイの頻度や長さです。

CEDEC 2013発表資料より引用

CEDEC 2013発表資料より引用

この観点からの数字の読み解き方は、私が昨年CEDEC 2013で発表させて頂いた ときの 発表資料 で詳しく説明させていただいているのですが、あたかも人間ドックや健康診断のように、総合的にタイトルの状況を把握することが出来ます。

CEDEC 2013発表資料より引用

CEDEC 2013発表資料より引用

この観点以外にも、「分析」では、以下のような数字で、ユーザの「心地よさ」を測っています。

 

  • ゲームを遊び続けてもらっているか

    • プレイの頻度が極端に落ちていないか
      (皆勤賞ユーザの数、プレイ日数が少ないユーザのプレイ日数の増加状況、など)

    • 久しぶりにゲームを再開したときのスムーズな受け入れができているか
      (復帰日を起点とした継続率、など)

 

  • ゲームが与える目新しさ・刺激・成長感や、ゲームをすることによる負荷は適切か

    • プレイに掛かる時間が、ほどよく熱中し、疲れすぎない長さになっているか
      (1プレイにかかる時間の平均値・最長値、など)

    • プレイしている時間の中身が、つまらない作業で占められていないか
      (操作内容毎に分解した1日のプレイ時間、など)

    • ゲームの中での成長感は得られているか、獲得できるカード・アイテムなどの魅力がそこなわれていないか
      (ユーザのカード・アイテムの保有状況、パラメータ分布の推移、など)

    • 実施したイベントが、過去のイベントと比べて十分に楽しめるものであったか
      (イベントの参加者の変化、イベント期間を通算したKPIの比較、など)

 

  • 課金に対する納得感は得られているか

    • アイテム・ガチャの購入の効能感が得られ、次回の購入に繋がっているか
      (複数日課金者数の推移、など)

 

このような指標をみながら、運営しているチームに対して、「末永く遊んでもらうために対処すべき課題」を出すことが、「分析」の重要な仕事の1つとなっています。

 

では、リリースする前は、アナリストは、どのように面白さを確認しているのか?

…という話に入りたいところですが、紙幅もつきてしまいました。続きの話は、次回分析の話をするメンバーにバトンタッチします。このような話が聞きたいなどの要望はコメントを頂ければ、次の筆者が可能な範囲で対応出来るかもしれません。