エンタメ力向上計画!!~今月の課題図書解説~

みなさんこんにちは。美少女プロジェクトチームのイワサです。また登場です。

 

私たちのチームでは、普段からIP(アニメ、漫画、映画、コンソールゲーム等のコンテンツ)を活用したゲーム作りやそのプロモーションを推進しています。

業務の一環で、毎月、主に漫画とライトノベルを対象に、エンターテイメントを理解・科学するという目的で、テーマ性をもって作品を紹介するという取り組みをしています。今日はその中からいくつかご紹介したいと思います。

 

「擬似」というキーモチーフを用いたドラマ構成

女性向けのいわゆる「恋愛シミュレーションゲーム」には、「擬似」という設定を活用したものが数多く存在します。

例えば、ひょんなことから王子様の婚約相手のフリをさせられたり、両親に決められた“いいなずけ”をはね除けるために彼女のフリをさせられたり・・・最初は「擬似」でしかなかった状況が、物語が進むにつれ関係が進展し、お互いに「擬似」が「本当」になっていく・・・そんな心の動きをテーマにしたような作品たちです。

実は、この「擬似」要素は、ストーリー構成上非常に強力かつ汎用的に使えるテーマではないかと考えています。

例えば講談社アフタヌーンKC「甘々と稲妻」(雨隠ギド 著)。

物語は、妻を亡くして男手一人で幼稚園児の娘を育てている高校の先生が、ひょんなことから教え子の女子高生と一緒にウチご飯を作るところからスタートします。ありあわせの材料で、一緒に手伝いながらご飯を作る。決してごちそうじゃないけれども、妻を亡くした男所帯にとってはかけがえのない「ウチご飯」が味わえる・・・その過程で、先生は少しずつ娘の事を知り、女生徒は少しずつ先生の事を知り、読者には家族のあり方が伝わっていくという心温まる作品です。

本当は家族でも何でもない先生と生徒が、先生の娘のために「擬似」家族のような関係で一緒にウチご飯を作り、食べる。

本当の家族でもなく、特別な関係でもない、だから何かあればすぐに壊れてしまうようなあやふやな関係だけども、だからこそ続ける事が特別になる、そこが本作のドラマの生まれる源泉なわけです。さて、どんなドラマになるかというと・・・それは実際に作品を読んでみてください。現在2巻まで好評発売中です。

image2.png

家族をモチーフにして同様に「擬似」テーマでドラマを組み立てている作品は多く、アニメ化・実写映画化もした祥伝社フィールヤングコミックの「うさぎドロップ」(宇二田ゆみ 著)やKADOAKWAコミックフラッパーの「高杉さん家のおべんとう」(柳原望 著)等があります。詳細は割愛しますが、どちらも非常に面白い作品です。

 

ライトノベルは誰向け?

さて、話はガラリと変わってライトノベル。

最近はライトノベルを原作としたアニメが非常に増えてきており、アニメの人気度やゲーム化余地の評価等をしなければならない自分も、毎月20冊以上読んでいます。もしかしたら渋谷の文○堂で一番ライトノベルを買っているのは僕かもしれません。

なぜライトノベルがアニメ原作の主要供給源となったのか?

その理由の一旦がその幅広い対象年代です。・・・誰ですか、ライトノベルは中高生のための「軽い」小説だ、なんて思っている人。それは大きな誤解です。ライトノベルは10代~30代を広くカバーし、年代毎に移り変わるユーザーの興味関心を次々と捉える完成度の高いエンターテイメントなのです。


ちょっと分析してみましょう。

 

10代~20代前半(学生):学園モチーフで王道ファンタジー(英雄譚)

学生にとって、ライトノベルとは、多くの場合学園(現実世界の高校であれ、仮想世界における魔法学校であれ)が舞台となって、主人公男子が隠された力を用いて悪を討ち、ヒロインを守り、そして仲間を増やしていく物語です。

いわゆる典型的なライトノベルのイメージがまさにこれ。

社会人になっても楽しめるモチーフではありますが、学生にとってはより一層感情移入できるモチーフです。

なぜか?もちろん自分が学生であるからです。加えて、現実の学生生活は退屈で平坦で凡庸なので、その状況が大きく覆るような非日常感が味わえるライトノベルの世界観設定は非常に魅力的な「IF」であり、感情移入が捗るモチーフになっています。

最近ですと、4月よりアニメ放映予定のKADOKAWA電撃文庫「魔法科高校の劣等生」(佐島勤 著)は上述のポイントを押さえた名作です。

魔法が一般化した近未来の学園を舞台に、虐げられた「ウィード」とエリートである「ブルーム」の絶対的な力関係の中、ウィードでありながら圧倒的な力をもった「劣等生」である主人公が、学園を襲うテロリストをスマートに倒し、そして周りの女生徒達の熱のこもった視線を受ける・・・中高生にとって最高に憧れるシチュレーションの塊になっています。

ちなみにこの「魔法科高校の劣等生」は、ライトノベルの中でも硬派で、変に媚びたところのないすっきりした文体なので、普段ライトノベルを読まない皆様にもお勧めです。

image3.png

 

20代後半~(社会人1年目~):社会人モチーフでシンパシー

20代後半になってくると、ライトノベルファンは学園ものだけでなく、社会人モチーフのものも読むようになります。

例えば、新人SEの無茶振り案件での奮闘を描いたKADOKAWA電撃文庫「なれる!SE」(夏海公司)だったり、古書店で働く事になった既卒男性と若く美しい女性古書店主の謎解きを描いたKADOKAWAメディアワークス文庫「ビブリア古書堂の事件手帖」(三上延 著)だったりです。

なかなかファンタジー的な要素が入らないのでネタ作りの広がりに欠けるところがありますが、新社会人のとまどいや、社会にうまくなじめない成人の焦り等の社会的葛藤がドラマを奥深くしており、普通に小説として読み応えがあるものが多いのが特徴です。社会人ビギナーの読者にとって親しみが持ててなおかつ励まされる作品になっており、シンパシーを持ちながら読める作品です。

エンジニアの皆様、改めて「なれる!SE」を読むと「あるある」ネタの宝庫なので楽しいと思いますよ。

 

30代以降~:好きな作家で頭空っぽにして楽しめ

30代のラノベ読み・・・実は少なくありません。

例えば過去電撃文庫では読者の年代アンケートをとったところ読者の10%30代以上でした。電撃文庫はラノベの中でも中高年にフォーカスしていることを考えると、他レーベルもあわせると30代以上の占める割合はかなり多いのではないでしょうか。

そんな彼らが何を読むか?

・・・結論としては何でも読みます。ラノベ暦10年~ともなると、どんなものでもバッチコイです。特に昔から好きな作家の新刊となると、ジャンルが何であれすかさず読むという人が多いのではないでしょうか。

アニメ化が決定したKADOKAWAファンタジア文庫「甘城ブリリアントパーク」(賀東招二 著)は上記の典型例で、なおかつ30代をかなり意識した作品です。

筆者は「フルメタルパニック」シリーズで90年代後半多くのファンを獲得した人気ライトノベル作家ですが、この作品は、つぶれかけの遊園地を舞台にしたコメディで、出てくるネタは正直いっておっさん向けの下品で下世話なものばかり。だからこそ、おっさん的には頭を空っぽにして楽しめる。まさに社会人生活も長くなって気楽なエンタメを求める30代男子にとって、心から楽しめる作品になっています。

 

エンタメ力向上計画!?

・・・こういった分析が、少しでもゲーム作りやプロモーションに役立てば・・・と思い、コンテンツについての分析や解釈を加えながら作品紹介を行っています。え?ただ楽しんでやっているだけではないか?・・・いやいや仕事です。仕事なので今日も僕はライトノベルや漫画を読むのです。ええ、仕事ですよ仕事。

好評ならまたこの手の話を書きます。ではまた。

「美少女Mobage」はコチラ

「美少女Mobage」はコチラ