SF映画を見て次のアプリを考える

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こんにちは。ディベロッパーソリューショングループの澤村です。

 

普段はみなさんがお使いになるMobage Developers Japanの開発・運用をしていますが、今日はちょっとテーマを変えて、私が翻訳に参加した書籍「SF映画で学ぶインタフェースデザイン」について紹介したいと思います。いますぐ使えるテクニックというわけではありませんが、次のアプリを考えるヒントになればと考えています。


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「SF映画で学ぶインタフェースデザイン」について

この本はお題のとおり古今東西のSF映画に登場するユーザーインタフェースをとりあげて、それを現実世界ではどう動くか、そのアイディアをどう活用できるかを大真面目に考察するユニークな(というより超マニアックな!)本です。ちなみに原題は『Make It So』というタイトルで、これは新スタートレックでのピカード艦長の台詞から来てます。そこだけでマニアな方は胸アツですね。

 

いくつか本の中でとりあげているタイトルをあげます

 

2001年宇宙の旅 2300年未来への旅 A.I. JM Mr.インクレディブル X-メン アイアンマン アバター 宇宙空母ギャラクティカ 宇宙大作戦 エイリアン 銀河ヒッチハイク・ガイド 禁断の惑星 ジュラシック・パーク スター・トレック スーパーマン スター・ウォーズ スター・ゲイト スターシップ・トゥルーパーズ スパイ大作戦   ターミネーター 第9地区 タイムマシン 地球最後の日 地球の静止する日   月に囚われた男 トータル・リコール バック・トゥ・ザ・フューチャー バック・ロジャース ファイナルファンタジー ファイヤーフライ 宇宙大戦争 フィフス・エレメント ブレードランナー マイノリティ・リポート マトリックス 未知との遭遇 ミッション・トゥ・マーズ 未来世紀ブラジル 未来惑星ザルドス メトロポリス メン・イン・ブラック 夢の涯てまでも ロスト・イン・スペース ロボコップ

 

みなさんのお好きな作品が何本かあるのではないでしょうか?

 

映画はUIのヒントがたくさん

はたしてSF映画からアプリを作る上でのアイディアを得ることは可能でしょうか?答えはYesだと思っています。映画制作者たちが「一瞬しか映らない中で何を伝えるか?一瞬で印象を残すには」と考えに考えて作り出したシーンの数々には、ユーザーを魅了するヒントがたくさん隠されています。

本の中には、例えば「ジェスチャー・インタフェース」についての章があります。SF的なインタフェースとして「マイノリティリポート」を思い浮かべる方も多いかとは思います。当時はあくまで未来的なものとして観客に迎えられました。しかし、考えてみると、マイノリティリポート当時には全く夢の技術だったジェスチャーも、WiiやKinectをはじめ今ではめずらしくないものになってきてると思いませんか?

SF映画は刺激的なユーザー体験を考えるための素材の宝庫だと言えるでしょう。単に観るだけではなく、映画からのアイディアを抽出できて、次のヒットにつなげられたら素敵ですよね。

 

SF映画のアイデアってそのまま使えるの?

ところで、映画に登場するインタフェースて実際に使えるものでしょうか?もちろん、全てがきちんと動く仕組みまで考えられているわけではありません(というよりもほとんどは考えれられていません、それは映画作家の役割ではないのかもしれません)。なので、そこから現実のゲームやスマートフォンアプリに応用するにはいくつかの思考過程を経る必要があります。そういう意味でも、映画のインタフェースを「あくまで現実に照らし合わせて考えて」みることで思わぬ気づきがあります。

例としていかにもSF的なインタフェースである、立体投影(いわゆるホログラム)について考えてみましょう。

 

立体投影で実際に会話してみると?

スターウォーズ でR2-D2がレイア姫の立体投影を映し出してメッセージを伝えるシーンを覚えている方も多いでしょう。立体投影も現実世界で利用しようとすると様々な課題がでてきます。たとえば視線の問題。映画では投影された映像とお互いに視線をあわせて会話をしているシーンが頻出しますが、あれをするためにはカメラの位置と映像の位置をうまくアジャストしなければいけません。一般社会では、視線をずらすことは一般的には遠慮や嘘つきにうつりかねないからです。

例えばダースベイダーとストームとルーバーが話すシーンをちゃんと考察してみると下記のようになります。

本誌 P96より引用

本誌 P96より引用

といったように映画の中ではうまくいっていても、現実に応用するとなると考慮しなければならないことがたくさん出てきます。他にも、例えば上であげたマイノリティリポートのジェスチャーのシーンでも「手が疲れたらどうする?」「ノイズと操作をどうやって分ける?」などなど、考えなければいけない点は枚挙にいとまがありません。

そういった課題を見つけ、乗り越えていくことで次のインタラクションが生まれていくと思っています。
 

未来のUIのヒントあれこれ

ではいくつか具体的に映画の中のインタフェースを取り上げて見ていきましょう

 

音のインタフェース

音の使い方にも、様々なアプローチを映画から読み取ることができます。未知との遭遇での宇宙船との出会いのシーンで有名な、そもそもの音楽自体をコミュニケーション手段として使う方法。音によって環境情報を伝える方法。そして、操作インタフェースとして音声を使う方法などがあげられます。なかでも、自然な言葉でコンピュータを操作するのは昔からのSF的な夢でしたが、これもいまではSiriをはじめいくつか現実で適用できている事例がでてきていると思います。

本誌 P.129より引用

本誌 P.129より引用

音楽自体がコミュニケーションとなる例は現実ではまだ少ないですが、エンターテイメントの一要素としてのヒントになるかもしれません
 

拡張現実(AR)

アイアンマンにあるように視角内にセンサーで取得した情報を投影する例も映画の中でよく見かけることができます。この分野は拡張現実(AR)とよばれます。ARとは現実を拡張することであり、置き換えることではありません。外部から情報を取得し、ユーザーの視覚または聴覚にフィードバックする形で今いる現実を拡張するのです。映画でもっとも頻繁に見られるのは敵の位置をヘッドアップディスプレイなどで重ね合わせて表示する方法でしょう。しかし、ARという概念はそれだけにとどまらず、今いる現実のコンテキストを認識することで、様々なアプローチが可能です。例えば位置情報は分かりやすい例でしょう。また、モノの認識、人の認識などまで考えを広げることができます。

この分野はいままさにさかんに試されている領域だと感じます。スマートフォンでも位置の情報を利用するゲームやアプリが出てきていますね。一歩進んでモノや人を認識するサービスや外部のセンサーを取り付けてそれをフィードバックするようなゲームも面白いかもしれません。
 

脳インタフェース

脳に直接情報をインストールしたり、思考をつかって機械を操作するシーンは多くのSFで描かれています。しかし、現実では、この分野はまだまだ未開拓だと言えるでしょう。SF映画で描かれたような使われ方にはまだまだ時間がかかりそうです。

本誌 P.146より引用

本誌 P.146より引用

ただし、すぐには無理だとしてもヒントがないわけではありません。脳波センサーを使ったデバイスはいくつか市場にでており、多くの技術がそうであったように、まずエンターテイメント分野で幅広い人の眼にふれるのは、それほど遠い未来ではないかもしれません。

 

擬人化

ロボットをはじめ映画では様々なシステムが擬人化されて描かれています。なんのために擬人化されているのでしょう。擬人化はシステムに人間性を与え、私たちにより親しみやすさを感じさせてくれます。擬人化と一言に言っても必ずしも人間である必要はありません。ぬいぐるみのように動物の形であっても対象に愛着を持つことでコミュニケーションが深くなります。単に機会が処理しているのと、自分の仲間がしていると感じるのでは感じ方が違ってきます。会話型のヘルプ機能や、ローディング中にあたかもキャラクターが働いているような見せ方はもうおなじみですよね。
 

もしかしたら今作っている機能に人間性を持たせてみてはどうでしょう?ほんのちょっとした工夫でユーザーの愛着は全く変わるものです。
 

まとめ

映画はあくまで観るためのエンターテインメントですが、そこには未来を想像した映画製作者たちの様々なアイデアが宿っています。インタラクションとしての新しさ、魔法のような便利さ、斬新なビジュアル。多くのアイデアは未完成でそのまま現実に使えるものではありません、それでも、実際にできるかどうか考えながら見ていくことで思わぬ気づきを得られることでしょう。それが次のゲームやアプリになり、次の刺激的なユーザー体験につながったら幸いです。