リリース直後のゲームの課題を発見し、解決する方法

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こんにちは。

ビジネスアナリティクス部アナリティクスディベロップメントグループのtotaniです。

過去2回に渡って、私たちの部署で行っている「分析」や「レベルデザイン」の業務の一部をそれぞれのメンバーよりご紹介させていただきました。

 

 

第1回:ゲーム・アプリを、長い間楽しめるものにするために意識した方がよい数字たち

第2回:「スマホゲームの面白さを実現するために最初にすべきこと~レベルデザイン~」

今回は第3回として、ゲームリリース直後に当社で行っている活動について、一部事例を交えながら、ご紹介させていただきます。

 

早速ですが、ゲームをリリースした直後に皆さんが意識している指標はどういったものでしょうか?

企業に属してゲーム開発を行っている方々は事業計画(≒売上目標)があるかと思いますので、それらを達成できうるか否かを把握するために、売上、もしくはそれをブレイクダウンしたものとして以下の様な指標を確認することを重要視されているのではないでしょうか?

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もちろんこれらは私たちも重要視していますし、リリースする全てのゲームにおいて簡易に閲覧できる様に態勢を整えています。しかし、これらは結果指標であるため、これらをウォッチしていくだけでは、具体的にどの部分を改善していくべきかを探し当てることも難しいですし、改善策の優先順位付けを行う根拠としても足りていません。

 

では、わたしたちがゲームリリース直後に何を意識して、改善に取り組んでいるかというと、

 

「ユーザがそのゲームを楽しんで、心地よくプレイできているか」

 

ということです。

このことについて、定量的なデータを分析することで、改善すべき箇所の特定や、対処する優先順位を検討していくのですが、楽しんで、心地よくプレイできていることをリリース直後の段階で、数値で表現するのは簡単ではありません。

ですので、実際にはレベルデザイン時に設計した内容にそって、改善活動を行っています。まず、設計した内容と実際のユーザのプレイ状況の乖離を埋めることからはじめ、その後、レベルデザイン自体の設計を見直すという手順で進めています。

 

仮に翌日アクセス率などのKPIが想定よりも低い水準であった場合、その原因が、レベルデザイン時に想定していた様にプレイしてもらえていないからなのか、それともレベルデザインそのものがユーザに受け入れて貰えていないからなのかの切り分けが必要なため、まずは乖離を埋めるための活動からはじめています。

具体的な例をいくつか挙げると以下の様なことを行っています。

・特定の端末やOSとの組み合わせで固有のバグがあり、正常にプレイできていない場合がないかの確認を行う。

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・プレイ回数やプレイ時間、ゲーム内の進捗状況などと各種ステータスの成長状態の確認を行い、レベルデザイン時に設計した想定値に近づけるためのゲーム内のパラメータ・ロジックの修正を行う。

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こういった改善活動を行い、リリース前に設計していた内容に近づけることができた後に、レベルデザインの改修の検討を行います。ここでも多種多様なデータを確認しながら改善案を模索していくのですが、一例として、ユーザのゲーム内での進捗状況のファネル分析(※1)や、進捗毎の翌日アクセス率などの分析についてご紹介させていただきます。

 

(※1)ここでちょっと脱線してファネル分析についてご説明します。

ファネル分析とは、ユーザ遷移の開始地点と完了地点を指定し、その間に存在するプロセスごとに遷移率を見ることで、改善すべきプロセスを探し出すための分析手法です。例えば会員登録開始~登録完了までの、各画面遷移をプロセスと見立てファネル分析を行うと、どの部分を改修することが、会員登録率の向上に影響が大きいかを測ることができます。

 

ファネル分析を行う上で重要なのは、定義する各プロセスをどのように設計しているかです。

ユーザにとってゲームの進捗とは、体験であり、感情を動かされるものです。そして、その積み重ねにより、ユーザはそのゲームのファンになっていきます。レベルデザイン時にはその前提をもとに、ゲーム内の各プロセス毎にユーザの感情に何を訴えるかを考え、設計しています。そのため、レベルデザインの改修を考える際は、単純にゲーム内の進捗(例えばステータスの成長や、倒したボスの数、ステージ進捗等)毎にファネル分析をするのではなく、ユーザの感情を左右する各ポイントを重要なプロセスとして認識した上で、分析を行っています。

単純なゲーム内進捗のみで改善を行おうとすると、ユーザの感情に影響を及ぼすための重要なプロセスを省略してしまい、当該プロセスにおける次プロセスへの遷移率は向上したが、それ以降のプロセスの進捗が悪くなり、全体的な改善には繋がらないものとなってしまうという事が起こりえます(例:チュートリアルの一部のプロセスを削除した結果、チュートリアル完了率は向上したが、ゲームの面白さを伝えきれなくなってしまい、翌日アクセス率が低下した、等)。

このようにレベルデザインで設計したプレイ体験をベースに分析を行うことで、「とりあえずステージの難易度を下げる」、「次プロセスへの遷移率が悪いプロセスを廃止し、とりあえず進めるようにする」といった場当たり的な対応を防ぎ、ユーザのプレイ体験をより良いものにし、楽しんで心地よくプレイする事が出来るように本質的な対応を検討することができます。

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さて、このように、ゲームリリース直後の分析では、

①リリース以前に設計していた、レベルデザインの内容(≒ユーザ体験)に近づけるように、ゲーム内の各種パラメータを修正し、

②その後必要に応じて、レベルデザインそのものを修正していく

という2段階で、ユーザがより楽しめる様に、より心地よくプレイできるように改修を行っています。これらの改修が一段落した後は、@dnogami_denaの記事(ゲーム・アプリを、長い間楽しめるものにするために意識した方がよい数字たち)に記載されているような活動を行い、そのゲームを末永く遊んでもらうために分析活動を行っていくという流れになります。

 

最後に

これまで3回にわたって、ゲーム開発時のレベルデザイン、ゲームリリース直後の分析、中長期にわたって運営しているゲームの分析という内容で、ゲームの開発〜運用フェーズにおける弊社の分析業務の業務内容の一部をご紹介させていただきました。

いずれのフェーズにおいても、ユーザにより楽しんで頂くにはどうすればよいかという視点で業務を行っています。今後もユーザへのDelightを忘れず、より良いゲームを生み出し、運用していきたいと思います。

最後になりましたが、ご覧いただきました皆様の業務において、少しでも参考になる部分などがあれば幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。